【子供が加害者に!】学校の友達とトラブルになったとき親はどうすればいい!?
自分の子供が友達とトラブルになったと担任から連絡があったとき、どんな対応をすればいいか悩んでいませんか。
ましてや、自分の子供がトラブルの原因だと知ると何があったのか心配になります。
本当に自分の子供が相手を嫌がらせるような行動をとったのか、それとも何かその行動に理由があったのか。子供同士のトラブルを解決するのはとても難しい問題です。
このとき、親の行動を間違えてしまうとトラブルがより悪化してしまい、友人関係にも大きな亀裂が入ったり、相手の保護者ともトラブルになったりすることが少なくありません。
これまでの経験上、子供同士のトラブルが大きくなるのは「親の行動」が大きな要因の一つです。
この記事では、子供がトラブルの当事者になったとき、親としてどのような行動をとれば良いのかを説明しています。
子供の話を絶対に鵜呑みにしてはいけない
まず、一番よくないのが子供の話を鵜呑みにして信じることです。
もちろん、子供の立場に立って話を聞いてあげ、共感してあげることはとても大切です。
しかし、話した内容を全て信じてはいけません。
僕は○○くんを叩いていないよ!○○くんが振り向いたときに手が当たっちゃったんだよ。何度も謝ったのに許してくれなかったんだよ!
そうなんだ。叩くつもりはなかったんだね。ちゃんと謝れたのはいいことだね。
(たまたま手があたったくらいで泣くかな・・?ぶつかって謝ったのに許してもらえないのは違和感があるな・・?もしかしてこれまでに同じようなことが何度も続いていたのかもしれない。そもそも謝っていないかもしれない。)
子供の話をしっかりと聞いてあげるのは大切ですが、決して鵜呑みにせず、様々な可能性を想定しましょう。
子供の気持ちに共感する姿は見せるものの、子供と同じ考えを持つことは適切ではありません。
子供の気持ちに寄り添いすぎてしまうと、誤った行動をした子供を正しい方向に導くことができなくなってしまいます。
子供の話を全て鵜呑みにしていると子供は、「親はいつでも味方になってくれる。またウソをついてごまかそう」という思考になってしまいます。
これまでに何件も生徒指導対応をしてきましたが、
うちの子は私にウソをつくようなことは絶対にありません。これまでもそのようなことはありませんでした。
と自信満々に話す親を何人も見てきました。
その子供への過信がトラブルを何倍にも大きくし、解決困難にしているとは知らずに。
子供は、「親に嫌われたくない」という気持ちを強く持っています。
先生にどう思われようが、親に嫌われることだけは絶対に避けたいのです。
叱られるのを恐れ、失望させないように咄嗟にウソをついてしまうこと珍しいことではありません。(ウソの程度は子供によって違います)
逆に、自分の悪いところも包み隠さず話すような子供はほとんどいません。(
ウソをつくことは自分を守ることであって、当たり前の行為です。これを読んでいるほとんどの大人が一度は親にウソをついた経験があるのではないでしょうか。
ウソをついた子供が悪いのではなく、ウソをウソだと疑わずに妄信する大人が悪いのです。
学校と協力して詳しく聞き取る。
子供の話を鵜呑みにしないとしても、どこまでが正しい事実なのかは分かりません。
その時の状況を学校と家庭それぞれで詳しく聞き取る必要があります。
学校では、加害児童、被害児童両者の話を聞いて、当時の状況から総合的に判断し、指導をします。
被害児童の性格や家庭環境からどのような経緯があったのか、総合的に判断するとどのようなことがあったのか大体が分かります。
場合によっては、相手の子供がとてもわがままな性格で、自分の子供が被害者といえる状況になるかもしれません。
しかし、学校に全て任せれば良い訳ではありません。
学校では、児童に聞き取りをできるのは休み時間です。授業時間に聞き取りを行うことはその子供やクラスの子供の学習権を奪ってしまうことになるため、緊急時以外には行いません。
1日のすべての休み時間を合わせても30~60分が限界です。要件をてきぱきと話してくれればその日のうちにトラブルの概要が見えてきますが、ほとんどの子供はうまく言葉で説明することができません。
また、先生に友達とのトラブルについて話すとなると、緊張してうまくしゃべれない子供もいます。
あらかじめ、家庭でどのようなことに困っていて、その時の状況はどうだったのかを聞き取っておくことで、学校での聞き取りもスムーズになります。
- トラブルの原因
- どうして相手に嫌な思いをさせるようなことをしたのか。その理由を具体的に聞き出します。言い逃れするために、とって付けたような理由を言うことが多いです。
- トラブルの内容
- 「相手を叩いた」であれば、どのようにして叩いたかを確認しましょう。グーで叩いたのか、物で叩いたのかなど明確にすることで、話が明確になります。「加害児童の叩いた」と「被害児童の叩いた」の思い描いている場面がすれ違うのを防ぎます。
- いつ起こった出来事なのか
- 子供はされて嫌だったことは覚えていますが、時系列がごちゃごちゃになっていることが多々あります。時系列がごちゃごちゃだと、因果関係も変わってくるため、整理しておきましょう。
- どこで起こった出来事なのか
- 「外」といっても学校付近なのか、家付近なのかで話が全く変わります。「教室」であれば何年何組のどこで起こったのかまで具体的に聞き取りましょう。
- トラブルの内容を細かく聞き取ったことで解決に至ったケース
-
Aくんが頭を叩いたことについて保護者から謝罪を求める連絡が来ました。Aくんに話を聞いても身に覚えがないようです。叩かれた子供に詳しく聞き取ると、後ろから頭を叩かれており、誰が叩いたかを直接は見ていませんでした。その時に後ろにいたのがAくんだったため、Aくんに叩かれたと決めつけてしまったようです。後になって全く別のBくんが叩いていたことが分かりました。保護者は最初A君が悪いと決めつけてかなりご立腹でしたが、早とちりをしてしまったと反省していました。
家庭でじっくり話を聞き取り、学校と協力して解決に向かうことが大切です。
何度もトラブルの連絡がある場合は要注意
毎年のように学校からトラブルの報告がある場合は注意が必要です。
基本的に毎年電話で連絡されるような子供は相手に悪意を持って行動していることが考えられます。
物を隠したり、叩いたりするような客観的に残る事実はトラブルを起こした加害者として明確ですが、高学年になるにつれ、客観的な証拠を残さないようになります。
- 相手をにらみつける
- 睨むという行動は主観的な判断によって決まります。どんなに聞き取っても「見ていただけ」と言われたらそれ以上は踏み込むことはかなり厳しくなります。
- 人によって態度を明らかに変える
- 大人の見ていないところで露骨に態度を変えます。「態度」も主観的な証拠なので、いくらでも言い逃れできてしまいます。
- 悪口などの言葉の暴力
- 言葉による暴力は「言った、言わない」の水掛け論になりがちです。結局お互い譲らないことも多く、事実として認定することは厳しくなってしまいます。
学校では、本人が納得していない状態で無理に指導することはなかなか厳しく、相手が嫌な思いをしたことを伝えるにとどまります。
学校には監視カメラも無く、基本的には子供の証言だけでしか事実を認定する術はありません。悪意のある行動を学校が事実として認めるのが難しいのが現状です。
- 実際にあったいじめのケース
-
Aさんにいじめを受けているというBさんからの訴えがありました。二人になったときににらまれたり、露骨に態度を変えられたり、小声で悪口を言われたりし、深く傷ついているようでした。Aさんに聞き取りを行い、事実を確認しようとしましたが、「私はそんなことやっていない。先生は私がやったと決めつけている」と反発します。(当然決めつけるようなことは一切していません)AさんにBさんの気持ちを伝えましたが、結局最後まで改善することはなく、Bさんを救ってあげられなかったことを今でも後悔しています。何度もAさんの保護者に電話で連絡をしたのですが、自分の子供の話を信じ続けており、Bさんを責めるような物言いでした。
教員間でも、その子は指導を要する児童として、引き継がれていきましたが、保護者の方の理解を得ることができず1人の担任が病休をとってしまうほどに追い込まれてしまいました。
ただ、毎年、その子供をめぐってトラブルが発生しているという事実は残ります。
- うちの子は何にもしてないのに・・・
- うちの子、活発な性格だから目立っちゃうのよね・・・
- こんなことで電話してくるなんて、またハズレ担任に当たっちゃった。
何度も学校から連絡が来るということは、その子供がトラブルを引き起こしているということに気付いてほしいという学校側のメッセージでもあります。
その状態を放置し続けていると、今度は自分の子供の周りから友達が離れていくようになってしまうかもしれません。
さらにもっと問題なのは、友達が離れていく原因が、自分の言動にあるということを子供自身が理解できていないことです。
自分に問題があるということを早いうちに気付かせてあげないと、取り返しのつかないことになってしまうかもしれません。
学校から何度も連絡が来た際には、真剣に対応を考える必要があります。
相手の保護者に謝罪の意思をみせる。
保護者に対して、子供がトラブルを起こしたと連絡をすると、
これって相手方に謝罪したほうがいいですか・・・?
と質問されることが多いです。
基本的に、謝罪をしたほうが良いかどうかを学校側が答えることはありません。後になって「学校から謝罪を強要された」となるのを防ぐためです。
おそらくどの自治体も家庭の判断に任せていることと思います。
しかし、個人的には誤るかどうか悩むくらいなら謝罪したほうが絶対に良いです。
「子供が学校で謝罪をしたからOK」という考える方もいますが、どの保護者も同じ考えとは限りません。
○○くんの親は、友達を叩いたのに謝りもしないの!?どういう教育をしてるの・・!!?
保護者によってはこのような反応をされる方もいます。(地域によりますが、クラスに数人くらいの割合でいます。)
昔と違って「子供同士のトラブルだから」という考え方をする保護者は減ってきています。
むしろ、子供同士は仲直りしているのに、親が納得せずに問題を掘り返すことすら少なくありません。
私が見たことがあるのは、被害児童の保護者の気が収まらず、直接学校に乗り込んで加害児童に向かって直接説教をして、謝罪を強要させることがありました。
もちろんそのような行為は決して許されず、職員が止めに入りましたが、年々攻撃的になっている保護者が増えているのは事実です。
自分の子供に非がある場合は、トラブルを悪化させないようにあらかじめ謝罪の意思を見せておくことで、余計なトラブルを未然に防ぐことができます
もし、自分の子供が相手が嫌がるような言動をしていたら、子供だけでなく保護者としても謝ることが大切です。
子供の取る行動の責任は全て親にあります。子供が悪かったとしても責任を取るのは親の役目です。
電話で謝罪の意思を伝える
一番多いのは電話で謝罪をするケースです。
- すぐに謝罪の気持ちを伝えられる
- 電話がつながらなくても、謝罪しようという気持ちが伝わる
- 授業参観などであったときに気まずくならない
電話で伝える良さは、何よりすぐに連絡できることです。大切なのはどのように謝罪をするかではなく、謝罪したいという気持ちを伝えることです。
連絡先を知らない場合は、担任に連絡先を問い合わせましょう。担任が相手の保護者に了承を得られた場合は教えてもらえます。(自治体によっては自粛する場合もあります)
「謝罪は大丈夫です。子供のやったことなので、お気になさらないでください。」
と連絡先を教えることを断られる場合もあります。しかし、それでも謝罪をしたいという親の気持ちが伝わるため、無駄にはなりません。
直接会ったときに、自分から話を持ち出す。
同じ学年、同じクラスになっていると、授業参観や運動会など顔を合わせる機会が年に何回かあるはずです。
その際に、自分から相手の保護者を見つけ、話しかけましょう。
先日は、うちの子が失礼なことをしてしまい申し訳ありませんでした。その後お子さんの様子はいかがですか~?
といったように相手を気遣いながら謝罪の意思を伝えることで、感じ方が全く変わってきます。
ほとんどの場合、相手の保護者からも「こちらも~~~」と受け答えしてくれます。
子供同士のトラブルだからと放置していると、後で子供や自分が大変な思いをしてしまうかもしれません。
直接話すことで、かなり関係性は回復するはずです。積極的に声を掛けるようにしましょう。
手紙で謝罪の意を伝える
口頭で伝えることは難しい場合は、手紙を子供に持たせて渡すケースも稀にあります。
ただし、手紙の内容を子供の目に触れないよう、封筒などに入れるようにしましょう。
また、子供を介するため相手にうまく渡せないというリスクもあります。必ず担任に渡すように伝え、担任から相手に渡すようにしましょう。
担任を間に介することで、渡しそびれのリスクを減らせます。
相手のものを壊したり、汚したりしたときは弁償を申し出る
どのような状況であれ、相手のものを汚したり、壊したりしたときは弁償を申し出ることが礼儀です。
仮に鉛筆や定規など安価なものであっても、相手のものを破損させてしまった以上は保護者が弁償をしなければいけません。
子供同士の関わりで物が壊れることは決して珍しいことではありませんが、「子供のやったことだから」と甘く見ていると、後々大きなトラブルに巻き込まれてもおかしくありません。
- 相手の保護者に弁償する意思を伝えてから弁償する。
- 場合によっては、弁償を強く断られる場合もあります。むしろ断られるケースの方が圧倒的に多いため、物を用意するよりも先に弁償の意思を伝えておきましょう。
- 壊したものはどんなものだったのかを聞く。
- 弁償する場合は同じ程度のものを買います。準備が困難な場合はそれに準ずる金額を用意します。あらかじめ、どちらを用意するのかも相手方に伝えた方が良いです。
弁償する際は、菓子折りなどを持っていくとより誠意が伝わります。
親が誠意をもって謝罪をする姿は子供にとっても自分の行動を反省する機会となります。
親の行動は子供に間違いなく影響を与えることになります。相手に迷惑を掛けたときはどのように行動すべきか行動で示すことが大切です。
家庭で繰り返し指導をする
教師になってから感じるのは、子供は何度も指導を積み重ねていかないと言動が変わってこないということです。
新任のころは、なんで言ったのに改善しないの・・・と悩むこともありました。
しかし、1年間を通して粘り強く指導を重ねていくことで子供の行動には少しずつ変化がみられるようになります。
たった数回の指導では人間の行動は変わりません。それは大人にも言えることです。
義務教育段階のうちに正しい善悪の判断が取れるよう継続して教育を行うことで、数々のトラブルを避けることができるようになります。
よくも悪くも学校は閉ざされた空間に様々な子供が通っています。どんなに立派に生活していてもトラブルを避けることがほぼ不可能です。
トラブルのたびにどうするべきだったか、常日頃から考える機会を設けることで、子供も次第にどうすればよいか考えることができるようになります。
子供に謝罪を強要させるのは慎重に
反省の気持ちを持たせるために謝罪をさせるということは教育上当たり前のように思うかもしれません。
しかし、基本的に謝罪を「強要すること」は好ましくありません。
謝罪を強要することで様々なデメリットが考えられます。
- 子供の言い分を聞かないことにより、親への不信感が生まれる
- その場しのぎの手段となり、反省する機会がなくなってしまう。
まずは、謝罪をさせる前に子供の言い分をよく聞くことが大切です。相手が嫌がるようなことをした理由があるかもしれません。
これらの理由をよく聞き、気持ちを汲み取ったうえで、自分の行動の良くなかったことを自覚させることで反省を促し、謝罪する大切さを伝えます。
話をよく聞くと、相手の子供の方が悪いことをしていた場合もあります。そんな状況で謝罪をしても納得がいきません。
状況によっては、謝罪を後回しにして、事実を確認するために学校に問い合わせる必要があります。
一番大切なのは子供が自分の行動を反省し、謝りたいという気持ちを持つことです。
学校では、子供たちの話を聞き取り、双方がトラブルの原因等を納得できた状態になってから謝罪をさせることがほとんどです。
謝罪をすればOKという判断を下すと、今後も同じようなことを繰り返してしまいます。
謝罪をゴールにするのではなく、「反省し、これからの行動を改めること」をゴールにしたいですね。
悩んだときは誰かに相談を
子供を教育をする一番の責任は学校の先生ではなく、保護者にあります。(教育基本法より)
しかし、子供の「支援」を全て保護者が担う必要はありません。
悩みは一人で抱え込まずに、親戚や友人、学校などに相談してください。
学校に問い合わせをすればスクールカウンセラーに相談することができます。対応に困ったときは遠慮なく電話することも検討してみてください。
文部科学省では、子供や保護者を対象にした相談窓口「24時間子供SOSダイヤル」を設けています。子供という名前が入ってはいるものの、保護者が連絡をすることも可能です。
友達や親族だけでなく、時には全く自分とは関係性の無い第三者に話をすることで気持ちを落ち着けたり、考えを整理したりすることができます。
https://www.savechildren.or.jp/oyakonomikata/anata-no-mikata/soudan/
まとめ
今の学校現場は親世代が子供のころと比べて「子供のやったことだから」というある意味での寛容さが減ってきているように思われます。
子供のやったこととはいえ、責任を取るのが親の務めです。
- 子供の話を鵜呑みにせず、詳しく聞き取りを行う。
- 相手の保護者に謝罪の意思を見せる
- 物を壊したり汚したときは、謝罪だけでなく、弁償の意思を見せる。
- トラブル後も引き続き家庭で指導を積み重ねていく
これらのことを意識することで、大きなトラブルを未然に防ぐことができます。
どんなに優しい気持ちを持った子供であってもいじめの加害者となってしまうことはあり得ます。そんなとき、適切な対応を親が行動で示すことができると素敵ですね。